マンションでは、管理組合と自治会が別々に活動しているところもあれば、管理組合と自治会が一体となっているところもあります。どちらが良いのでしょうか。
9月26日に開かれた千葉県マンション管理士会の研修会で、前マンション学会会長の小林秀樹・千葉大学大学院教授は、「別々よりも、管理組合主導のほうが円滑に行くケースが多いようだ」と話されていました。
その典型は、管理組合の役員が自治会役員を兼務するといった形でしょうか。同教授は「別々でうまくいく例は少ない」とも、おっしゃっていました。子供が小さいうちはよいのですが、子供が少なくなると自治会は停滞しがちだそうです。2000年以降に分譲されたマンションでは、一体型が多くなっているとも。
ただ、自治会と一体化した管理組合にとって、気になるのは標準管理規約から「コミュニティ条項」が削除されるのではないか、と言われていることです。
コミュニティ条項とは、「居住者間のコミュニティ形成」を管理組合の業務として定め、それに要する費用を管理費から支出することを認める条項のことです。2004年の標準管理規約改正で導入されました。
国土交通省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」は、この条項の削除を提起し、これに対して日本マンション学会などが批判的な見解を表明しています。
11月7日には、日本マンション学会、全国マンション管理組合連合会、日本マンション管理士会連合会、マンション管理業協会が共催でシンポジウムを開き、各団体のトップがこの問題を議論します。
このコミュニティ条項の行方は、今後の管理組合と自治会の関係にも、少なからぬ影響を与えるかもしれません。
Author Profile
- マンション管理士 森健一事務所代表
新聞社を定年退職後、マンション管理士、特定行政書士事務所を開業。
千葉県マンション管理士会 会長、日本マンション管理士会連合会業務部長、マンションコミュニティ研究会監事。
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