来年(2016年)4月の電力小売りの全面自由化に先立ち、1月から、いよいよ小売り電気事業者と利用者の契約ができるようになります。既に80社以上が小売り事業者の審査を申請しているそうです。

管理費削減の一環として、高圧一括受電を導入し電気料金を削減しようと考えているマンション管理組合にとって、今は対応が難しい時期です。

1月以降、居住者の一部が各種サービスとの「セット割」などにひかれて個々に小売り事業者と契約してしまうと、管理組合がまとまって一括受電サービスを契約するには、その居住者に個々の契約を解約してもらわなくてはなりません。

解約料が高額であったり一定期間は解約できない契約だと、解約は難しく、その結果、居住者全員の承諾という一括受電サービス導入の条件を満たせなくなります。

かといって、1月以前に一括受電サービス業者を選択して契約をするには、少し時間が足りません。それに、できれば4月の全面自由化後まで待ち、競争によって契約条件が良くなるかどうかを見定めてから契約先を決めたい、という管理組合も少なくないでしょう。

そこで、小売事業者と利用者の契約が始まる前に、管理組合として「一括受電を導入する」とのコンセンサスを作っておき、4月の全面自由化後に、動向を見定めたうえで最良の契約先を決める、という手順を考えている管理組合もあります。

具体的な進め方としては、住民説明会などで一括受電導入のメリットを十分周知したうえ、臨時総会で一括受電導入を決議(普通決議)します。それによって居住者に、個々に契約するより、マンション全体でまとまって一括受電契約をしたほうがメリットが大きいことを、よく認識してもらいます。

ただし、この決議に拘束力はありません。個々に契約しようとする居住者をとどめることはできません。そのため、決議にあたっては、マンションがまとまって一括受電を導入するほうが、個々に契約するより、管理費の削減効果を考えると結局はお得だということを、よく理解してもらう必要があります。

一括受電サービスによっては、共用部分だけでなく、専有部分のみ、あるいは専有部分と共用部分の双方の電気料金削減も選択できるので、そのあたりをアピールするのも一つの方法です。

その後、一括受電の契約先の絞り込みが終わったら、総会の特別決議(議決権の4分の3以上の賛成)で契約締結を決議し、全戸に署名してもらうという段取りになります。

マンションがまとまることによるスケールメリットを生かせば、電力の全面自由化による恩恵をより多く受けられるような気がします。管理組合のマネージメント力が問われますね。

 

 

 

 

Author Profile

森 健一
マンション管理士・特定行政書士 森健一事務所代表
元読売新聞社記者。同社でニューヨーク駐在、英字新聞部主任、企画開発部次長、広告局部長などを務める。
定年退職後、マンション管理士、特定行政書士事務所を開業。
千葉県マンション管理士会 理事、東葛支部長